シャルル (Charles)
シャルル
Ado
アド
の和訳・カナルビ【パート分け付き】
『シャルル (Charles)』はAdoの日本語J-POP楽曲です。 このページでは日本語訳(和訳)、カナルビ(発音ガイド)、パート分け、歌詞の意味を詳しく解説します。 失恋と別れの苦しみを繊細に表現した楽曲で、Adoの透明感のある歌声と切ない歌詞が多くの人の心を掴んでいます。
さよならは あなたから いった
さよならはあなたから言った
別れを切り出したのはあなたの方なのに
冒頭から別れの場面が描かれています
それなのに ほおを ぬらして しまうの
それなのに頬を濡らしてしまうの
なぜか私の頬が涙で濡れてしまう
別れを告げたのは相手なのに、泣いてしまうのは「私」という皮肉
そうやって きのうの ことも けして しまうなら
そうやって昨日の事も消してしまうなら
そうやって昨日の思い出まで消し去ってしまうなら
「昨日」は二人の過去の思い出全体を象徴
もういいよ わらって
もういいよ 笑って
もういいよ、笑って別れよう
諦めと割り切りの気持ちを表現
はなたばを かかえて あるいた いみもなく
花束を抱えて歩いた 意味もなく
意味もなく花束を抱えて歩いた
花束は関係性の象徴。目的を失った心情を表現
ただ まちを みおろした
ただ街を見下ろした
ただぼんやりと街を見下ろした
高所から街を見下ろす行為は、現実から距離を置く象徴
こうやって りそうの えんに こころを おきざりして いく
こうやって理想の縁に心を置き去っていく
こうして理想の関係から心だけが置き去りにされていく
「理想の縁」は二人の理想的な関係を表す
もういいか
もういいか
もういいかな
諦めの気持ちを自問する表現
からっぽで いよう それで いつか
空っぽでいよう それでいつか
心を空っぽにしていよう、そうすればいつか
感情を押し殺す自己防衛的な表現
ふかい あおで みたしたのなら どうだろう
深い青で満たしたのならどうだろう
深い青色の感情で満たされたらどうなるだろう
「深い青」は悲しみや憂いの象徴
こんな ふうに なやめるの かな
こんな風に悩めるのかな
こんな風に悩めるようになれるのかな
悩みさえも感じられるようになれるかという問いかけ
あいを うたって うたって くもの うえ
愛を謳って謳って雲の上
愛を歌って歌って、雲の上にいるみたいに
「謳う」は単に歌うだけでなく、大げさに表現する意味も含む
にごりきっては みえないや
濁りきっては見えないや
でも心が濁りすぎて何も見えないや
「濁る」は心が混乱して曇った状態を表現
いや いや とおく えがいていた ひびを
嫌 嫌 遠く描いていた日々を
イヤだ イヤだ 遠い未来に描いていた二人の日々を
「遠く描いていた日々」は二人の未来の計画や夢を指す
かたって かたって よるの むれ
語って 語って夜の群れ
語って 語って 夜の中で群がる想いと
「夜の群れ」はネガティブな感情の集まりを象徴
いがみあって きりがないな
いがみ合ってきりがないな
いがみ合ってばかりで終わりがないな
関係性の悪化を表現
いな いな わらいあって さよなら
否否 笑い合ってさよなら
ダメだ ダメだ 結局は笑い合って「さよなら」
「笑い合って」には皮肉や空虚さのニュアンスがある
あさやけと あなたの ためいき
朝焼けとあなたの溜息
朝焼けと一緒にあなたのため息が漂う
朝焼けは新しい始まりを象徴するが、ため息は別れの悲しみを表す
このまちは ぼくらの ゆめを みてる
この街は僕等の夢を見てる
この街は私たちの夢を見続けてる
街を擬人化して二人の関係を客観視
きょうだって たがいの ことを わすれて いくんだね
今日だって互いの事を忘れていくんだね
今日だって互いのことを少しずつ忘れていくんだよね
時間の経過とともに記憶が薄れていく様子
ねえ そうでしょ
ねえ そうでしょ
ねぇ、そうでしょ?
同意を求める問いかけ。自分の認識を確認したい気持ち
だまって いよう それで いつか
黙っていよう それでいつか
黙っていよう、そうすればいつか
感情を押し殺す姿勢
さいなまれた としても べつに いいんだよ
苛まれたとしても 別に良いんだよ
心が苦しくても、それでいいんだよ
「苛まれる」は心が苦しめられる状態
こんな うれいも いみが あるなら
こんな憂いも意味があるなら
この悲しみにも何か意味があるなら
苦しみにすら意味を見出そうとする心情
こいと かざって かざって しずかな ほうへ
恋と飾って飾って 静かな方へ
恋を飾って飾って、静かな方へ流れていく
「飾る」は本質を隠して見栄えよくする行為
よごれきった ことばを
汚れきった言葉を
汚れきった言葉たち
関係性の中で繰り返されて意味が失われた言葉
いま いま いま「ここには だれも いない」「ええ、そうね」
今 今 今「此処には誰もいない」「ええ、そうね」
今 今 今「ここには誰もいないね」「ええ、そうね」
対話形式で描かれる二人の心の距離感と空虚さ
まざって まざって ふたりの はて
混ざって混ざって 二人の果て
混ざり合って混ざり合って 二人の行き着く先で
融合と分離の矛盾した感覚
ゆずりあって なにも ないな
譲り合って何もないな
譲り合ってみても何も残らないな
互いに譲歩しても何も残らない空虚さ
いな いな いたみだって おしえて
否否 痛みだって教えて
ダメだ ダメだ せめて痛みだけでも教えて
空虚よりも痛みさえ感じたいという逆説的な願望
きっと きっと わかっていた
きっときっとわかっていた
きっときっと分かっていたんだ
関係の行く末への予感
だましあう なんて ばからしいよな
騙し合うなんて馬鹿らしいよな
お互いを騙し合うなんて馬鹿らしいことだって
関係の不誠実さへの気づき
ずっと ずっと まよって いた
ずっとずっと迷っていた
ずっとずっと迷っていたけど
決断の躊躇と葛藤
ほらね ぼくらは かわれない
ほらね 僕等は変われない
ほらね、私たちは結局変われない
変化の困難さへの諦念
そうだろう たがいの せいで いまが あるのに
そうだろう 互いのせいで今があるのに
そうだろう? 互いがいるから今の自分があるのに
依存関係の皮肉な認識
あいを うたって うたって くもの うえ
愛を謳って謳って雲の上
愛を歌って歌って、雲の上にいるみたいに
「謳う」は単に歌うだけでなく、大げさに表現する意味も含む
にごりきっては みえないや
濁りきっては見えないや
でも心が濁りすぎて何も見えないや
「濁る」は心が混乱して曇った状態を表現
いや いや ひにひに ふえていた こうかいを
嫌 嫌 日に日に増えていた後悔を
イヤだ イヤだ 日に日に増えていく後悔を
時間の経過とともに増していく後悔の感情
かたって かたって よるの むれ
語って語って 夜の群れ
語って語って 夜の中で群がる想いと
「夜の群れ」はネガティブな感情の集まりを象徴
ゆるしあって いみも ないな
許し合って意味もないな
許し合うことにも意味はないな
関係修復の無意味さを示唆
いな いな
否 否
ダメだ ダメだ
拒絶の繰り返し
あいを うたって うたって くもの うえ
愛を謳って謳って雲の上
愛を歌って歌って、雲の上にいるみたいに
最初のフレーズに戻り、循環するテーマを強調
かたって かたって よるの むれ
語って語って 夜の群れ
語って語って 夜の中で
終わりのない感情の渦
わらいあって さよなら
哂い合ってさよなら
皮肉な笑みを交わしてさよなら
「哂い合う」は皮肉や嘲笑のニュアンスを含む特殊な表現
『シャルル (Charles)』の意味と解説
『シャルル』というタイトルには「フランス語の男性名」という意味があります。この曲は「失恋と別れの苦しみ」をテーマにしています。タイトルには、「普遍的な別れの物語を象徴する」という意図が込められています。
歌詞に込められた意味
歌詞の中で繰り返される「愛を謳って謳って雲の上」という表現は、理想化された愛の関係性と、その空虚さを表しています。「濁りきっては見えないや」というフレーズからは、感情が混乱して真実が見えなくなった状態を読み取ることができます。
また、「此処には誰もいない」「ええ、そうね」という対話形式の表現からは、互いに空虚な関係性とコミュニケーションの断絶が表れています。「互いのせいで今があるのに」という歌詞は、お互いが依存しながらも傷つけ合う関係の皮肉を示しています。
曲の構成とパート分け
『シャルル』は、以下のような構成で成り立っています。各パートの特徴と魅力を解説します。
- イントロ: 静かに始まり、別れの場面を直接的に描写することで物語の核心に迫ります。
- バース: 叙情的な表現で主人公の心境を掘り下げ、花束や街のイメージを通して喪失感を表現します。
- プリコーラス: 「空っぽでいよう」「深い青」といった象徴的な表現で感情の抑圧と解放の狭間を描きます。
- コーラス: 曲の核心部分で、「愛を謳って謳って」という繰り返しが印象的。感情の爆発と諦めを同時に表現しています。
- ブリッジ: 「騙し合う」「変われない」といった言葉で関係性の限界を露わにし、曲の展開に深みを与えています。
- アウトロ: 「哂い合ってさよなら」で締めくくり、皮肉と諦観を込めた別れの結末を示します。
曲全体を通して、対照的な表現(「愛を謳う」と「濁る」、「混ざる」と「何もない」など)が効果的に使われており、複雑な感情を表現する音楽的な起伏と調和しています。Adoの透明感のある歌声が、この切ない物語にさらなる説得力を与えています。